クリエイターさん、
クライアントさんに知ってほしい。
「フリーランスとして安心して働ける
環境を整備するためのガイドライン」

国がフリーランスのクリエイターのみなさんを不当な取引から守る、ガイドライン。

こんにちは、広告制作行政書士(商標登録出願中)の竹下です。今回は令和3年の3月に発表された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」について説明したいと思います。その理由はひとつ。デザイナー、イラストレーター、カメラマンをはじめとするフリーランスのクリエイターのみなさんを、国が不当な取引から守ろうと動き出しているから。結果、健全な取引内容によって、創作活動(仕事)に快く取り組みことができるからです。

「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」は、こちらからダウンロードできます。
内閣官房長のホームページ
公正取引委員会のホームページ
厚生労働省のホームページ
経済産業省のホームページ

独占禁止法、下請法、労務法に基づいて、取引上の問題行為を明確化。

このガイドラインは、令和2年から内閣官房と各省庁(公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省)が連携して、フリーランスの取引状況に調査。私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)、下請代金支払遅延等防止法(下請法)、労働関係法令の適用関係を明らかにするとともに、これら法令に基づいた問題行為を明確化するために作成されたものです。

ひと昔前まで、取引上の地位は、発注者が受注者よりも優越している風潮でした。

自分が広告制作の仕事に従事していた時代、全ての取引までとはいきませんが、クライアントとクリエイターの取引上の立場を比較すると、どうしても仕事を依頼されているクリエイターの立場の方が弱くなりがちでした。当時の時代背景もあり、無理な値引き、無理な納期、突然の契約取消、報酬支払の遅延など、様々なケースを経験しました。例えば、無理な値引き。「今後も取引を継続したいから仕方がない・・・今回だけにしよう」などの思いが強く、よく受け入れてしまいました。また大手企業との定期的な取引の場合、定期的に担当者が入れ替わり、担当者によっては発注者の立場を利用して無理な要求する方もいらっしゃいました。個人的な理由から発注量を恣意的に減らされたこともありました。やはりこのような取引の問題を抱えていると、本業の創作活動に集中することができず、受注者・発注者お互いにメリットないのが正直なところです。

こんな要求されていませんか?こんな要求していませんか?フリーランスとクライアント、取引上の優越はありません。

ガイドラインには、具体的にどのような問題行為が明記されているのか。それは下記の12項目になります。項目ごとに「具体的な想定例」を紹介しなら解説されています。いずれの項目もタイトルを見ればその内容はお分かりいただけると思います。今回は、少し分かりにくい項目についてのみ説明したいと思います。各項目については、今後当ブログで詳細に解説していきます。ガイドらいんは、一度お時間のあるときに目を通してみてください。

  1. 報酬の支払遅延
  2. 報酬の減額
  3. 著しい低い報酬の一方的な決定
  4. やり直しの要請
  5. 一方的な発注の取消
  6. 役務の成果物に係る権利の一方的な取扱い
  7. 役務の成果物の受領拒否
  8. 役務の成果物の返品
  9. 不要な商品又は役務の購入・利用強制
  10. 不当的な経済上の利益の提供要請
  11. 合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定
  12. その他取引条件の一方的な設定・変更・実施

気が使いないうちに法律違反しているケースも・・・。ぜひ一度お確かめください。

「4のやり直しの要請」は、発注業者が正当な理由がないに、フリーランスから提供された役務などの提供を受けた後に、やり直しを要求する場合。フリーランスが今後の取引に与える英城を懸念して受け入れざるを得ないケースです。当然、役務内容が違うなど、フリーランス側に責任ある場合は除かれます。

「6.役務の成果物に係る権利の一方的な取扱い」は、著作権のお話です。フリーランスのクリエイターがクライアントに提供する作品には、著作権等の一定の権利が発生する場合があります。このケースにおいてクライアントが作品(成果物)に報酬を払ったことを理由に、著作権等の権利の取扱いを一方的に決定すると、クリエイターに不利益を与えることになります。

「9.不要な商品又は役務の購入・利用強制」は、クライアントがフリーランスに役務と関係のない商品又は役務の購入を要求することです。例えばコンサートのフライヤー制作の依頼を受けたデザイナーが、クライアントからそのコンサートの大量のチケットの購入を要請され、要請を拒否した場合には取引を打ち切るといったケースです。

「10.合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定」は、クライアントが、フリーランスに対して当該取引に専念させ、別クライアントとの取引する機会を奪うなどの場合です。“合理的に必要な範囲”ですので、上記例の場合でも一概に法律違反の問題とは断定できず、具体的な取引内容を精査しての判断となります。

トラブルを未然に防ぐために。取引内容を明確する、いつでも確認できる、業務委託契約書の作成をおすすめします。

ではこのような問題を未然に防ぐ対策とは?それは、受発注時にクリエイターとクライアント間でよく話し合うこと。取引内容の認識のズレがトラブルの原因となります。また、その内容を契約書に明記すること。紙面の契約書および電子契約書を作成して、取引内容をいつでも確認できるようにしておくことが大切です。また契約書は、トラブルが発生した時の、証拠書類としても機能します。

契約の作成というと、クライアント側が作るものという認識が強いですが、全てのクライアントが業務委託契約書を交わすとは限りません。クリエイター側でも見積書に受注内容を明記するなどの簡易的なものなら作ることができると思います。クライアントさんは、ぜひ一度、この機会に業務委託契約書について見直しお及び作成してはいかかがでしょうか。クリエイターさんは、この機会に業務委託契約書の内容に目を向けてみたり、ご自身なりの方法で契約書的なものを作成してみてはいかかがでしょうか。

長文に渡り、お付き合いいただきありがとうございました。次回は各問題行為について、具体的な法律を紹介しながら紹介していきたいと思います。よろしかったら、またお立ち寄りください。

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